第27回ミュージック・ペンクラブ音楽賞
このブログを始めた頃に、第26回のミュージック・ペンクラブ音楽賞の授賞式のことを書いたが、あれから一年。ふたたび音楽賞の季節である。先頃第27回音楽賞の授賞式が、文京シビックセンター・スカイホール(26F)で行なわれた。
前回も書いたが、同クラブは、評論家や音楽学者、ライター、作曲家、DJ、プロデューサーなど音楽関連の執筆に携わる会員によって構成される一般社団法人。現在の会員数はおよそ160名。クラシック、ポピュラー、オーディオの三部門に分かれているが、こうしたジャンルを超えて交流するのも同クラブの特徴だ。同音楽賞は前年にとくに目覚しい活動をした人や、音楽文化に貢献した人が顕彰される。
僕はクラシック会員なので、クラシックについて記すと、「独奏・独唱部門賞」はメジューエワ、「室内楽・合唱部門賞」ヴォーカル・アンサンブルカペラ、「オペラ・オーケストラ部門賞」京都市交響楽団、現代音楽部門賞「読売日本交響楽団」、「研究・評論部門賞」に後藤暢子『山田耕筰―作るのではなく生む』ミネルヴァ書房刊、「特別賞」吉村渓、「功労賞」遠山一行(敬称略。最後の2賞の受賞者は故人)。他の部門の受賞者や受賞理由はこちらをご覧ください。http://www.musicpenclub.com/prize27.html
受賞式に必ず、受賞者がスピーチを行なう。たとえば、1997年以来、日本を拠点として演奏・録音活動を行なってきたロシア出身のピアニスト、メジューエワさんは、流暢な日本語で、長年、日本全国の小学校で演奏するアウトリーチ活動を行なってきた。その点認めてもらえてとても嬉しいと語っていた。
ヴォーカル・アンサンブルカペラは花井哲郎氏の率いるグレゴリオ聖歌とルネサンス・フランドル楽派の宗教曲をレパートリーとする声楽アンサンブル。かれらの結成も1997年。初めて彼らの演奏を聴いたときに、その徹底した時代考証に裏打ちされた実践とその演奏の水準の高さに驚嘆したものだ。花井氏はプロの歌手がグレゴリオ聖歌やルネサンスの宗教曲を演奏し続ける例は珍しく、このような地味な活動に注目してくれたことに感謝するともに受賞の喜びを語った。かれらは目下、ルネサンス最大の作曲家といわれるジョスカン・デプレのミサ曲全曲演奏とCD録音を行なっている。CDが完成すれば、これも世界で初めてのことになる。
京都市交響楽団は常任指揮者の広上淳一氏とともに地元のみならず、東京、大阪、名古屋で公演を行ない高い評価を得たこと、びわ湖ホールにおけるコルンゴルドのオペラ《死の都》(沼尻竜典指揮)の優れた演奏が受賞理由。読売日本交響楽団も昨年のコンサートにおける現代音楽の積極的な取り組みやその優れた成果が評価された。
皆さんお話しがほんとうにすばらしく、そのすべてを伝えられないのが残念だ。それはポピュラー部門やオーディオ部門も同じだ。コンサートの企画で「コンサートパフォーマンス賞」を受賞した瀬川昌久さん、オーディオの「技術開発賞」のパナソニック株式会社、ビートルズなどのコンサートのプログラムの文章を集めた『ライヴ・イン・ジャパン コレクション1966ー1993年』(河出書房新社)の編者鈴木道子さんなど。各受賞者の歳月の重みや熱い想いが伝わってきて感動的だった。やはり長年信念を持って活動を続けてきた人たちの言葉はいいですね。
その後の懇親会では、ポピュラー部門の「ブライテストホープ賞」の飯田さつきさんがアカペラで《アメイジング・グレイス》を歌い、瀬川さんのコンサートで活躍した外山喜雄氏(トランペットと歌)と外山惠子さん(バンジョー)がサッチモの曲を披露。因みに「コンサートパフォーマンス賞」の外国人アーティストは昨年2月のザ・ローリング・ストーンズ(スピーチは招聘元のキョードー東京の方が行なった)。彼らの平均年齢が70歳というのも感慨深いが、「録音録画作品賞」のトニー・ベネット&レディー・ガガ「チーク・トゥ・チーク」、特別賞のフランキー・ヴァリ、功労賞の伊藤八十八氏など重厚な顔ぶれだ。このような、普段接する機会の少ないジャンルの今のエッセンスに触れられるのも、同賞受賞式の魅力である。今度、山中千尋さんの「サムシン・ブルー」(録音録画作品賞日本人アーティスト)と飯田さつきさんの「ムーン・リバー」を聴いてみよう。(4月8日)
前回も書いたが、同クラブは、評論家や音楽学者、ライター、作曲家、DJ、プロデューサーなど音楽関連の執筆に携わる会員によって構成される一般社団法人。現在の会員数はおよそ160名。クラシック、ポピュラー、オーディオの三部門に分かれているが、こうしたジャンルを超えて交流するのも同クラブの特徴だ。同音楽賞は前年にとくに目覚しい活動をした人や、音楽文化に貢献した人が顕彰される。
僕はクラシック会員なので、クラシックについて記すと、「独奏・独唱部門賞」はメジューエワ、「室内楽・合唱部門賞」ヴォーカル・アンサンブルカペラ、「オペラ・オーケストラ部門賞」京都市交響楽団、現代音楽部門賞「読売日本交響楽団」、「研究・評論部門賞」に後藤暢子『山田耕筰―作るのではなく生む』ミネルヴァ書房刊、「特別賞」吉村渓、「功労賞」遠山一行(敬称略。最後の2賞の受賞者は故人)。他の部門の受賞者や受賞理由はこちらをご覧ください。http://www.musicpenclub.com/prize27.html
受賞式に必ず、受賞者がスピーチを行なう。たとえば、1997年以来、日本を拠点として演奏・録音活動を行なってきたロシア出身のピアニスト、メジューエワさんは、流暢な日本語で、長年、日本全国の小学校で演奏するアウトリーチ活動を行なってきた。その点認めてもらえてとても嬉しいと語っていた。
ヴォーカル・アンサンブルカペラは花井哲郎氏の率いるグレゴリオ聖歌とルネサンス・フランドル楽派の宗教曲をレパートリーとする声楽アンサンブル。かれらの結成も1997年。初めて彼らの演奏を聴いたときに、その徹底した時代考証に裏打ちされた実践とその演奏の水準の高さに驚嘆したものだ。花井氏はプロの歌手がグレゴリオ聖歌やルネサンスの宗教曲を演奏し続ける例は珍しく、このような地味な活動に注目してくれたことに感謝するともに受賞の喜びを語った。かれらは目下、ルネサンス最大の作曲家といわれるジョスカン・デプレのミサ曲全曲演奏とCD録音を行なっている。CDが完成すれば、これも世界で初めてのことになる。
京都市交響楽団は常任指揮者の広上淳一氏とともに地元のみならず、東京、大阪、名古屋で公演を行ない高い評価を得たこと、びわ湖ホールにおけるコルンゴルドのオペラ《死の都》(沼尻竜典指揮)の優れた演奏が受賞理由。読売日本交響楽団も昨年のコンサートにおける現代音楽の積極的な取り組みやその優れた成果が評価された。
皆さんお話しがほんとうにすばらしく、そのすべてを伝えられないのが残念だ。それはポピュラー部門やオーディオ部門も同じだ。コンサートの企画で「コンサートパフォーマンス賞」を受賞した瀬川昌久さん、オーディオの「技術開発賞」のパナソニック株式会社、ビートルズなどのコンサートのプログラムの文章を集めた『ライヴ・イン・ジャパン コレクション1966ー1993年』(河出書房新社)の編者鈴木道子さんなど。各受賞者の歳月の重みや熱い想いが伝わってきて感動的だった。やはり長年信念を持って活動を続けてきた人たちの言葉はいいですね。
その後の懇親会では、ポピュラー部門の「ブライテストホープ賞」の飯田さつきさんがアカペラで《アメイジング・グレイス》を歌い、瀬川さんのコンサートで活躍した外山喜雄氏(トランペットと歌)と外山惠子さん(バンジョー)がサッチモの曲を披露。因みに「コンサートパフォーマンス賞」の外国人アーティストは昨年2月のザ・ローリング・ストーンズ(スピーチは招聘元のキョードー東京の方が行なった)。彼らの平均年齢が70歳というのも感慨深いが、「録音録画作品賞」のトニー・ベネット&レディー・ガガ「チーク・トゥ・チーク」、特別賞のフランキー・ヴァリ、功労賞の伊藤八十八氏など重厚な顔ぶれだ。このような、普段接する機会の少ないジャンルの今のエッセンスに触れられるのも、同賞受賞式の魅力である。今度、山中千尋さんの「サムシン・ブルー」(録音録画作品賞日本人アーティスト)と飯田さつきさんの「ムーン・リバー」を聴いてみよう。(4月8日)
by Musentanz
| 2015-04-12 10:55
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